春を告げる花に想う

あたたかい午後でした。


一人の高齢の男性がわたしの職場を訪ねてきました。









「これを、渡したくて」










帽子を脱いだおじいちゃんは、にこやかにわたしに微笑いかけてくれました。





持っていたのは、ソシンロウバイ


春を告げる黄色い花。












その昔、私が住んでいる都市は、中国の長春市と姉妹・友好都市提携をしました。

提携を推進するにあたり、長春市に赴いた一人の男性がいました。

何回か長春市を訪問した彼は、現地の方とすっかり打ち解けます。





そして友情と信頼の証として、とある樹の種を貰います。





この種を植えて、大きく育てよう…そう思いましたが、どうやって育ててよいかわからない。





そんな時助けてくれた樹木医がいました。

その樹木医は足しげく彼の家に通い、植え方や肥料のやり方など、こと細かに教えてくれたそうです。




この恩はどうやって返せばよいだろうという彼に、樹木医








「花が咲いたら、教えてください」







と一言残したそうです。













それから13年の月日がたち、やっとその樹は見事な花を咲かせるようになりました。





そして、あの樹木医にお礼を言いに行こうとしましたが、前にいた施設に彼の姿はなく、

彼の所在を聞くと、最後はわたしが今いる施設で働いていたということを聞いたそうです。












「だから、今日来たんです」












と、黄色く芳しい香りのする蝋細工のような美しい花を見せてくれました。










私と先輩は、思わず顔を見合わせました。
















その樹木医は、昨年のちょうど今頃亡くなっていたからです。











そんな私たちの様子を見て、











「だいじょうぶ、全部聞きました…ちょっと遅かったみたいだね」











と、穏やかに話してくれました。





前に働いていた施設で、樹木医がなくなったことを聞き、樹木医のお宅へその花を届けたそうです。













「今日は、あなたたちにそんなすばらしい先輩がいたということを知ってほしかったんです。」














そして、その樹から昨年やっと取れた種を約80個くれました。








「13年間、彼のことを思って育ててやっとついた大事な種だから、誰か他の人にも育てて欲しくて」








そういって、彼は帰っていかれました。












13年。


その人へ届けるために、その人のために、そう思って育てた。

そしてそういう思いにさせてくれた、人がいた。





そんなすばらしい先輩を、誇りに思い、また、自分もそういう人になりたいと、改めて決意しました。











ソシンロウバイ花言葉は、慈愛、慈愛心を持っている人。








まるで、そのおふたりをあらわしているようです。






「今度はわたしたちが、おじいちゃんに届けようか」




先輩の提案に、職場のみんなが賛同しました。


どんな芽が出てくるのか、そしてどんな花を咲かせてくれるのか、今から楽しみで仕方がありません。





そして、残った種は、市で行っている緑のあっせんとして登録され、これから多くの方の手によって育てられることでしょう。




いつか、その花が市内のあちらこちらで咲き誇ることを思い描きながら、今日もソシンロウバイの香りとともに仕事ができて幸せです。










…というわけで。

なんか、投稿してよかったのか、どうなのかまだビビッてますけど、あの内容の記事に、たくさんのお星様をありがとうございます!

星座が3個は作れる数です!!

しかも、超新星ベテルギウスまで!!!

本当にありがとうございます!!!



その後に書く記事がこういう記事という落差…。

そういう日記です…。