回顧

思えばいろんな音楽を聴いてきたのも、彼がいたから。

彼がいたから、いろんな音楽が聴けました。



「聴く前に嫌いになるんやったら、聴いてから嫌いになれ」



いろんなことを教えてくれたときもそうでした。

映画も本も漫画も勉強も、何でもかんでも中途半端にするなと、本気で教えてくれました。時には大人なコトも教えてくれました。



「やる前から、見る前から、触れる前から、会う前から、なぜ嫌だと決め付けんねん!」




それが彼の口癖。

今考えれば、その口癖にどれくらい救われたかな。



この耳が病気じゃないかという話からも、実験対象ということからも、色んなことからつっぱねて守ってくれたのも彼でした。

その耳を持ってることにもいつか感謝する日が来るから、毎日何に対してでもありがとうと思って生きなさいと、

耳にタコができるくらい教えてくれました。

それでいて、わたしが塞ぎこまないように、かつ厳しく、いつも前向きに、いろんなことを教え、何でも知っている15歳年上の彼は、

わたしにとっては神様に近かったかもしれない。



今のわたしが人並みに生活をし、貧しくとも幸せを感じ、時には悲しくなったり喜んだりできるのは、

彼が私のことを諦めないでいてくれたからだと思います。











「生きることは頑張る事ではなく、諦めないこと。それなら簡単でしょ。」













そういって笑ってた兄の、今日は命日。

渡すことのできなかったチョコレート、一緒に食べられなかったパスタ、助けられなかったわたし。

戻れるなら戻りたい。

でも、どうすることもできないから受け止めて生きている。



それが彼の宿命で、わたしの宿命なんだと思います。



たくさんの思い出と勇気をありがとう。

4年たった今、あなたのお陰でいろいろなことに感謝できる自分がいます。



やっぱりこの日は眠れなくて、だんなが寝た後に一人、ずっと起きてます。

そして、眠たい目のまま仕事に行って帰ってきたら、家族全員で集まってパスタを食べます。

一年に一回、わたしが毎年同じような行動をする日。

今日くらい、お兄ちゃんのことをずっと考えていてもいいよね?