ありがと、さよなら、おめでとう

この職に就いてから内示が出るのは、決まって3月の第4週の最初の日と決まっているのですが、

大体その前になんらかの話があるので、どこでもフライング送別会が開かれているし、お餞別等の用意も

わたわたせずに準備をしているのです。

それもなんか寂しいのですよね…。




先日は職場の人間だけでのフライング送別会があったのですが、今回は施設全体の送別会。

私がこの職場にお世話になる前に、研修で入っていたところでお世話になったお二人が定年退職。


自分の父母と同世代なのに、いつもはつらつとしていて、それでいて謙虚で、

お世話になるっていうか、ある意味もう心の拠り所っていうか支えだったような気がします。


研修先では、技術職の方が多いからそれなりにガテン系というか、「こうだったらこう!」という考えを

持った人がわんさかいて、その人たちがひとつに考えをあわすという作業が物凄く難しいことが多いのです。

結局そんな軋轢の中からリタイヤしたり、我が道を行くと独立する人もいたりするなか、

私のようなクラゲ人間はいつもその間の仲介役なタイプで、お前はどっちの味方なんだといわれたこともあり。

同じ仕事してるのに敵も味方もあるかいな…という部分で仲介役をしてきたクラゲも、

両者からのボディーブローにこっそり深海まで潜る事もあったのですが、そんな時に私の状態を察してか、

優しく話かけてくれたり態度で示してくださったのがそのお2人で。




Mさんは市の保育所のトップであるセンター長だった方、Yさんは公園管理のエキスパート。

仕事をしながらいろんな話をしました。

戦争から復興するときは食料も何も無く木の根っこを食べたこと、子供は山で薪拾いが普通で、

親の手助けを出来ることが本当に誇りだったこと、家庭と子供と仕事と育児の関わり方、

保育所の減少問題、家族の死のこと、ペットのこと…

小さい頃は普通に流して聞いていたことが、ある一定の年齢に達するとまた違って聞こえるというか、

本当に考えさせられることばかりです。



お二方が生きてきた時代を考えると、私が考えていたり悩んでいることなんて砂粒くらいに小さくて。

改まって励まされたりということではなく、逆に何も言われなかったこと、

普通になんてこと無い話をしてくれたことに物凄く感謝しました。逆にそれに勝手に励まされてました。




そこで約2年の勤務をし、こちらに異動になる際にはじめて「がんばって」といわれて。

あの2年間、その2人がいなければ多分クラゲ料理になって終わっていたっはずだったと思うのですが、

今は食べられないくらいの毒も持つことができました(それはあかんな…)。




職場の先輩が異動になるのはもちろん寂しいけど、異動だからどこかで必ず会える。

でも退職となると、会えなくなる可能性の方が高いわけで、異動とはまた違った寂しさがこみ上げます。




そんなこんなで特別お世話になったお二人に、気持ち程度にはなるけど何か渡そうと思っていたわけでして…。

私贈り物するときは、ありえへんくらい悩んでしまう性質なので、今回も案の定「どうしようか」と

送別会前日まで悶々としていたわけでございます。


結局、人や人生の橋渡しの時に贈るといわれている「箸」にしようと思い、前日に繁華街(言い方が古い)を

徘徊していました。

そして一件の箸専門店に入り、イメージに合致するものを見つけ購入しました。

応対してくれた店員さんに、「南天の木を使った箸がほしくて、やっと見つけました」と話したら、

「もしかしてAB型ですか」といわれました。

店員さんいわく、血液型で贈り物を選ぶタイプが違うんだそうです。へー。


A型の方は無難で、使っても使わなくても家にひとつあるといいかな?というものを購入する、

B型の方は「あ、なんとなくいいかな」という自分のフィーリングで選択し、購入する、

O型の方は流行のもので、そのなかでもお洒落度の高いもの、季節物を選ぶ傾向にある、

AB型の方は使うシーンまで頭で想像して、消去法で残ったものを選択しそこに自分のこだわりを付け足す、


当たってますか?

私はABなんですが、当たっているような感じもします。

今回箸を選ぶときも、「難を転ず」で南天がいいな!とかめんどくさいこだわりがありましたし…。

漆の塗り箸だったら洗うの大変だなとか、そういえば無垢素材が好きだから塗ってない箸がいいな、とか

使ったときの使い勝手とか、色んなこと想像してしまうのですが、

AB型じゃなくとも相手のこと想像して買いますよね?




そして送別会当日は、水分を含んだ重たいみぞれがちらつきまして、とにかく寒かったです。

私の職場の4名のほかにも異動者は多くて、そして退職者も。

みんな今日のことを忘れないように飲んで、すごく楽しかった。

そして遅れてきたスタジアムの芝管理のお兄さんは、さっき結納を済ませてきました!ということで、

駆けつけ10杯の洗礼を浴びていました。

一度その方とは、「若者会(施設全体の20代で集まって飲むだけの会)」で飲んだときに、彼女の写真を

見せてもらったことがあるのですが、すんっごく可愛いのです!!!ウラヤマシイゼ!!おめでとう!!!!




そして、トイレに立った時に携帯にメールが入っていたので確認したら、友達が無事出産!!

女の子で、3080グラム、めちゃくちゃ痛かった!って内容でした。おめでとう!!!!!

私もいつかお母さんになれるときが来るのかなー。

いつも妊娠・出産の話を聞くとすっごく嬉しい気持ちになるのに、ちょっぴり切なくなるときがあります。

でも、すぐに報告をくれてすごく嬉しかったです!

奈良におこちゃま見に行こー。

おこちゃまには何をプレゼントすれば喜ばれるのでしょうね。難しいなあ。




はじめは送別会ということでしんみりしていたけれど、最後はみんな笑顔で帰っていきました。

この間から寂しい寂しいばっかりの毎日でしたが、昨日でいくらか嬉しい嬉しいへの方向転換ができたかもしれません。



今日はいいお天気で、空は真っ青でした。



別れる人とも、あらたに誕生した命とも、

この空ひとつで繋がっているならばなにも寂しくなんて無いのでしょうね。



なんかこのまま終わるのは気恥ずかしいので、今日びっくりしたことを書いて終わります。

普段あんまりテレビを見ないうちのだんなが今日の朝珍しく早起きしていたので、

どうしたのかと思ったら、大ちゃんを見てました。

わたしに背中を向けて放った「おはよう」が涙声でした。あえて気がつかないふりをしました。

そうか、昂ぶっているのはキミだったのか…。あえて気がつかないふりを続けるよ。

そんな朝で、なんか幸せでした。

大ちゃん、おめでとう!!